秘密の森 シーズン2

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主人公ファン・シモクは、地方検察庁から別の地検に異動が決まっていた。深い霧が立ち込める中、自身の送別会に向かうと、海への立ち入り禁止の規制線が途切れているのに気付く。海洋管理公団へ連絡しようとするが、支庁長が送別会に到着したので、早く来るよう事務官に促され、そのまま会場へと向かう。しかし、会場に着く手前で数台の救急車が海岸へと向かうのを見て、気になり引き返すと警察が通報者の友人の捜索をしていた。間もなく2人の青年が溺死体で発見される。通報者は、宿泊施設で酔って寝ていたが目覚めると友人2人がいないので、海に行ったのではと探しにきたが、靴が浜辺に残され友人が見つからなかったため、警察に連絡したと言うのだ。何か違和感を感じるシモクだったが、結局事故として異例の速さで処理されてしまう。この事件をきっかけに、ハン・ヨジン刑事と久しぶりに連絡を取り合う様になる。ハン・ヨジン刑事は、警察庁へ派遣されて2年が経つ。警察の捜査権獲得のための捜査構造改革団への派遣だった。シモクは新天地へ向かう途中に最高検察庁へ来る様にとの連絡を受ける。そこで刑事法制団の団長ウ・テハから明日より自分の元で働くように命じられる。刑事法制団は検察の改革を推進する法務長官直属の臨時チームである。裏ミッションは、捜査権の独占体制を維持する事だ。ハン・ヨジン刑事所属の捜査構造改革団と、ファン・シモク所属の刑事法制団が対立する立場になる。

検察・警察の捜査権を巡る攻防戦が主軸となって物語が展開する。前半はバラバラの事件がいくつか起こるが、後半になるとそれぞれが複雑に絡み合っていたのがわかる。シーズン1に比べ事件よりも検察と警察の政治的な内容が多い。

このドラマを見る前に韓国での捜査権に関して知っておいていただきたい。韓国では捜査権は検察が握っており、そのため検察と財閥、政治家などの権力者との癒着が起こりやすいシステムだ。ムン・ジェイン政権で既存のシステムの司法改革を目指すも、日本でもワイドショーを賑わせたチョ・グクのスキャンダルにより停滞した。しかし遂に「公捜拠法」が2021年1月発足。捜査権と起訴権を独占している検察に対する牽制措置を作り、政権と癒着して助け舟を出す検察組織の弊害を防ぐというのが「公捜拠法」の意義だが、新設される公捜拠はむしろ政権に掌握される危険が非常に高いとの見方があるようだ。また、本ドラマと直接関連する改正法により、2020年に検事による捜査指揮権を廃止し、警察に1次捜査の終結権を与える法案が可決した。