サバイバー:60日間の大統領

チ・ジニ演じるパク・ムジンは、元大学教授の環境省長官で、根っからの科学者。米国とのFTA交渉の場で失態をさらした上、米国の要求に答えるようにという大統領からの指示に承諾しなかったムジンは、解雇される。同日、国会議事堂に社会科見学に行った娘を迎えに行く途中、国会議事堂の惨事を目の当たりにする。幸い娘は怪我を負ったものの無事であったが、大統領と大統領府の長級官まで全ての要人が亡くなってしまう。大統領府の中で唯一生存しているのが、パク・ムジンだったため、青瓦台(大統領官邸)に連れ戻される。こうして大統領権限代行の責務を負わされる。しかし、政治に疎いムジンは、自分は職務に適していないと断ろうとするが、大統領不在では軍事クーデターが起こりかねないことを知り、大統領権限代行を仕方なく引き受けることにした。国会議事堂爆破に加え、次々と勃発する問題に取り組むうちに大統領らしくなっていくムジン。明晰な頭脳と誠実さで国の舵取りを始める。

アメリカのドラマ「Designated Survivor:宿命の大統領」のリメイク。アメリカ同様実際に起きた過去の事件を盛り込ませ、ストーリーに真実味を持たせている。キャスティングが素晴らしかったと思います。特に秘書官から秘書室長になった、チャ・ヨンジンを演じるソン・ソックは、抜群でした。アメリカ人の様な仕草や表情をするので、プロフィールを調べてみたら、若い時にアメリカやカナダで過ごした時期があるようです。与党と野党の争いは、特に興味深いものではありませんでしたが、深刻な国際問題を切り抜けていく場面や、爆破テロ犯を追い詰めていく過程は、ミステリードラマのようで面白かった。こんな人が大統領になったら世の中が変わるのにと、夢を見たくなるようなドラマです。20年前に観たアメリカドラマThe West Wingを久しぶりにまた観たくなりました。最近では、元CIAの分析官が国務長官として外交手腕を発揮する「マダム・セクレタリー」が似たようなドラマです。韓国版のサバイバーは、韓国ドラマ「IRIS -アイリス」(韓国と北朝鮮の諜報員の戦い)とアメリカのドラマ「The West Wing」(外交、内政問題を扱う大統領府の物語)を掛け合わせた様なドラマになっています。